東京2020オリンピック・パラリンピックに向けて
ウポポの伝統が躍動する
~ウポポ ヤン リムセ ヤン~
全道、そして関東と、地域を超えた民族の鼓動が息をつかせぬ舞台を創り上げる。




https://www.youtube.com/watch?v=AoZxJCbCVh8&feature=youtu.be

「森羅万象にカムイが宿ると考え、すべてのものを敬う心から築かれたアイヌ文化には、世界平和に通じる精神がある」と、総監督の秋辺デボ氏は語ります。
秋辺氏が「ウポポ ヤン リムセ ヤン」と名付けたこの舞台は、3つのテーマで展開されます。
 
1.イランカラプテ
冒頭、勇猛な「タクサ」で魔を祓い、「ウエカプ」で優しく出会いを喜び、厳かなカムイノミで幕を開けます。アイヌ民族がお客様へ敬意をもってご挨拶をするシーンが展開されます。
 
2.カント オロ ワ ヤクサク ノ アランケプ シネプ カ イサム
「天から役目なしに降ろされたものはひとつもない」というアイヌ民族らしい考え方が存分に繰り広げられます。
自然の風景や鳥を愛でる心。過ごす日々の中で道具を大切にする心。そんな日常には、歌遊びもあります。そんな一つ一つの暮らしの中に、意味もなくこの世に存在するものはありません。木々のざわめき、鳥の羽ばたきなど、全てに意味はあるという考え方を伝えます。
 
3.ウレシパ モシリ
「世界は育てあう静かな大地」ウレシパとは「育てあう」という意味です。
ありとあらゆるものが育てあい、支えあうことでこの世界が成り立っているというアイヌの考え方を共有し、世界が尊敬しあい手を取り合うことを願って踊ります。
 
 
ウポポ ヤン リムセ ヤン upopo yan rimse yan
「ウポポ ヤン リムセ ヤン」では、道内外各地域それぞれのメンバーが集まり、互いの伝統を伝えあい協力し、今まではなかった伝承の形が生まれています。さらに伝統を重んじたウポポ・リムセを基軸としながら、日本舞踊家の藤間信乃輔氏を演出に迎え、音楽家の髙橋英明氏とコラボレーションすることで、これまでにない重層的な舞台空間を創り上げています。敬意をもって森羅万象を取り込み互いの良さを活かし合うという秋辺監督が目指した舞台をぜひご覧ください。
 
楽曲解説
1.イランカラプテ
1 タクサ リムセ takusa rimse
魔払い、清めの舞踊(釧路地方)
 
2 ウエカプ uekap
あいさつの踊り(旭川地方)
 
3 カムイノミ kamuynomi
神々への祈りの儀式(全地域)様々な行事を執り行う際に必ず行われるもので、重要な行動を起こす前にはまず私たちの思いを神々に伝えその庇護を願います。
 
2.カント オロ ワ ヤクサク ノ アランケプ シネプ カ イサム
4 ムックリ/ムックル mukkuri/mukkur
口琴、アイヌの楽器(全地域)情景、情念や自然の音、動物の声を表現
 
5 サルキウシナイ sarkiusnay
風景、情景の踊り(帯広地方) アイヌコタンのまわりに、よしがたくさん生えているところがあり、風が吹きよしが大きく揺れる様子を表した踊り
 
6 エリ リムセ eri rimse
農耕、豊年祈願の踊り(帯広地方) 通称粟まき踊りと言って、粟まきから収穫までを表した踊り。豊年祈願の踊りとも伝えられており、足で種に土をかける様子などが踊りにみられる。
 
7 ク リムセ ku rimse
弓の踊り(釧路地方ほか各地域) 狩人が山で鳥を見つけたがその鳥があまりに美しく射るか射るまいか迷い結局射ることができなかったことから生まれた踊りと言われている。神々への奉納の踊りとしてイオマンテの儀式や祭事の時に踊られる。
 
8 ク リムセ & エムシ リムセ ku rimse & emus rimuse
エムシ リムセ 剣を持って踊る男性の踊りで儀礼における魔払いや厄災を払うための踊り。阿寒では勇壮活発な踊りと言われ、イオマンテ等の儀式や祭事の時に神々への奉納の踊りとして踊られます。剣には霊力があるとも言われ魔を祓うための踊りとも伝えられている。
 
9 フッタレ チュイ huttare cuy
黒髪の舞、大嵐の夜に風で松の木が揺れているさまを表した踊りと言われている。踊りが激しいことから別名、心臓くらべの踊りとも言われている。
 
10 チカプ ウポポ cikap upopo
鶴の舞(旭川地方)チカプ ウポポのチカプとは鳥のことで、ここではツルを指し、ウポポは、旭川では、踊りの総称として使われる。伝承では、大雪山へ狩りに行ったコタンコロクル(村おさ)が、ツルの巣篭りを見て、鳥の母性愛を踊りに表したものと言われている。

3.ウレシパ モシリ
11 イフンケ ihunke
子守歌(十勝幕別地方) 「音を出してこどもをあやす」という意味。
 
12 サロルンカムイ リムセ sarorunkamuy rimse
鶴の舞(釧路地方)恋愛中の雌雄の丹頂鶴が、叫び、歌い、舞っている姿を模した踊りと言われている。
 
13 エッサーホーホー essa ho ho
輪踊り(ポロリムセ)(釧路地方)大勢が輪になって踊るもので、何度か動作を変えて踊り変化することから別名、踊り比べとも言われる。
 
オンライン公演にあたって
北海道そして北海道アイヌ協会は、東京2020オリンピック・パラリンピックの舞台で国内や世界に向け我々アイヌの文化を発信することを目指し、平成27年から準備を進めてきました。
オリンピック・パラリンピックは多様な民族が集う平和の祭典であります。
世界中から注目が集まるこの祭典は、日本の先住民族アイヌの存在を世界に知っていただくためのまたとないチャンスです。
森羅万象にカムイが宿ると考え、すべてのものを敬う心から築かれたアイヌ文化には、世界平和に通じる精神があります。そんなアイヌ民族の心を、世界に誇れる日本の心の一つとして世界へと発信したい。その取り組みの一端をオンライン公演という形で、ここにお披露目させていただきます。